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しかし、私達の関係にヒビが入りました。妻が突然に、離婚をしたいと申し込んできたのです。
信じられませんでした。私は、何も不自由なく生活を送ってもらっていたつもりだったので。
彼女がどんなことに不満を抱いているのか、よくわからなかった。
妻は、そのまま出ていきました。自分の箇所だけを書き込んだ離婚届を残して、ただ、何も言わず』
俺は、自分と同じだと思った。あの時の由希子の姿が、脳裏に浮かんだ。
若林は、話を続けた。
『私は、妻を探し回りました。責めて、もう一度、話し合いたかった。別れたい理由を教えて欲しかった。
しかし、私には妻の居場所に、心当たりが全くありませんでした。どこにいるのか、見当がつかなかった。
だから、興信所の力を借りました。私一人では、どうにもできなかったわけですから。
後に、興信所の努力のもと、妻の居場所を知りました。やはり、プロの力です。あっさりと妻の居場所を探してくれました。
私は、久しぶりに妻と話ができる。そう思いました。しかし、簡単にはいきませんでした。中々、話合いに応じてもらえなかった。
しかし、私は諦めなかった。何度も粘りました。
そして、ようやく話が進んだ時、妻から条件を出されました。それは、全ての話のやり取りは、代理人を通じてやりあうと。
私は、そんな条件を飲みました。それに頷かないと、離婚だと言われたからです。
妻とは、一ヶ月に一度ほどの、少ない会話でしたが、手紙のやり取りをしました。
そこには、もう昔のような心地良さはありませんでした。私は、そんな現実を受け入れられなかった。ずっと信じていた妻ですから。
そのまま、思うように事が進みませんでした。複雑なものを残したままです。それは、どうすることもできなかった。
そんな中、ある時からまた連絡が途絶えました。
そして、先日のことです。妻が亡くなったと、知らされたのは。
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