『やめてください、死んでしまいます』

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『やめてください、死んでしまいます』

一幕 一場:状況説明 朝、目を覚ますと、ベッドの傍らで土下座している男がいた。 け…警察…? 目覚まし代わりのスマホに手を伸ばしたが、そもそも部屋の中にすでにいるという状況 男は主人公の質問に答えず、「申し訳ございませんでした! あなた様の小説をぜんぶ喰らい尽くしてしまいました!!」 おいおいおい、まさか?! →明後日に締め切りが迫り、ぎりぎりで書き上げた400字詰め444枚の小説が、まっちろ 二場:目的の設定 この男いかにすべきか → 小説を起こしましょうそうしましょう というか、いったいどうやったら小説の文字だけ消せるんだ たべました だから、たべたってどういうこと 男は適当な本を開いて、「文字を掴んで」「口へ運んだ」 不味いです あ、はい 本には綺麗に摘まみ上げたそこだけ空白になっている 本当はなんでも食べれるんですけど、俺は文字が一等好きなんです とくに手書きの文字 あなたの文字はとても美味しかったです だからもう一度起こしましょう、あんなに美味しい文章は食べたことないです きっと素晴らしい物語だったんですよ ……… それ、単にお前の好みにマッチしてたってことじゃないの ……… おいなんか言え、なあ?! 二幕 三場:一番低い障害 こうしていてもらちがあかない、ということで、さっそく思い出せる部分を書き出していこうとして 書いた傍からひょいぱくする男 そうか、妖怪なら刺しておいてもワンチャン問題ないのでは? あるある、死んじゃう、さすがに、いたい 手書きはだめだ 四場:二番目に低い障害 あんまりパソコン使ったことないな え、社会に出たことないタイプですか? なんだよそのタイプ、野生? パソコンを立ち上げて打ち込み始めると、おもむろに男が手を伸ばす 嫌な予感がしたが、さすがに紙媒体とはちが… 「掴めるんかーい」 やはりひょいぱくした男 これは新食感ですわ、ちょっと気になってました しかも策士かこいつ 食べられる上に文字打ちが遅い これでは明日の投函に間に合わない 五場:状況の再整備 再び手書きに戻るが、男との攻防を経る事4回 もう…ほんとにどうしてくれんだよ…遊びで描いてたわけじゃねえんだぞ それは… 静かに激怒する作家に、男はうなだれて ゆっくりと、何かを決意したように作家を見上げる 先生 誰が先生だ じつは、一つ俺に良案があるんです 嫌な予感しかしないが たしかにそうかもしれません。これはきっと、先生の苦痛を伴います なにそれ… じっと見つめる視線は、どこか人間味が薄れているように見えた。 こちらの苦痛などお構いないような… そうして、男は口を開く ×六場:一番高い障害 三幕 七場:真のクライマックス 「(小説の中の一節・セリフ)  あ、先生、手が止まってます、ほら早く書きとってください、もう一度繰り返しますよ」 「うそだろおお… こんな、こんな羞恥プレイ…」 良案とは、書き取りだ。 男が食べた文字列を語るので、それを描き起こすというもの。それならば、男は喋っているのでつまみ食いもできない。 が、自分の書いた文章を語り聞かせられるという羞恥。 いやプロの作家には自分の文章を語り聞かせ、文の流れなどをチェックする人も…「(小説の中の)」いやあ俺には無理です。 やめろ、ちょっと心を込めるな 八場:すべての結末 無事、書き上げた原稿を持って郵便局へ。 戻ってくるとまだ待ってた男。土産に印刷したコピーを渡すともくもくと食べて「美味しくないっすわ」 やっぱり手書きじゃなきゃ、などと 書き損じならな (でも語り聞かせは慣れれば悪くないかも) ←自然とこれからの作業を考えていた ------------------------------------- 最後まったく違う展開になってまして… 本文の方が良いですね。変更して良かったです! 本文はこちら↓↓ やめてください、死んでしまいます https://estar.jp/novels/25591069
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