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あらゆる虫が苦手なわたしは、
これは完全に祖母の嫌がらせだと思った。
父も何も言う事もなく、ただ微笑んでいるだけだった。
ここまでくるともう、祖母に仕向けられた、
ある意味負けられない戦いのようなものである。
サンダルであることも忘れ、やや強引にトングを手に取ると、
落ちている栗の数と同数ほどの毛虫を捕まえようと試みた。
だが、毛虫であるはずのその物体は、
逃げ惑う鼠のごとく素早くその肢体をくねらせながら逃げていく。
もうすでに失神しそうなほどの気持ち悪さである。
なんとか1匹を捕まえると、そのまま袋に投げ入れた。
中では釣り上げた魚のように、ぴちぴちと動きまわる毛虫が、
薄いビニールの袋に穴をあけていく。
やや離れたところからわたしを見つめる祖母の表情は、
どこか嘲笑したような顔つきをしていた。
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