2人が本棚に入れています
本棚に追加
その2つの繭は、
完成してから数分と経たないうちに、
まるで春が訪れたかのごとく、
中からこじあけるように開かれた。
本能的に近くにいてはいけない気がして後ずさりするが、
勢いよく開かれた繭からは、
手のひらほどの蛾が無数に飛び出してきた。
辺り一面に金色の粉が舞い散り、
黄金のシャワーを浴びているようなほどの鱗粉は、
2つの繭から放たれる蛾によって延々と注がれている。
成す術もなくその黄金色の雨を受け、
やっと目が開けられるようになったときには、
辺りには何もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!