In the marble chocolate

4/13
前へ
/687ページ
次へ
好きになってくれたら、好きになるって言う彼のことだ。 彼女が絶えないとか聞いてた彼のことだ。 気持ちが冷めやすいと言っていた彼のことだ。 きっともう隣には、私の知らない誰かが、私の代わりに笑ってるんだ。 谷さんのお気に入りのソファで一緒にくつろいで、キスしたり好きって言ってもらったりしてるんだ。 お店から外に出た。 空はこんなにも高くて、澄んでいる。 それから、谷さんが好きだと言った湖畔を思い出した。 このところ、雪の日が続いていた。寒さがぐっと増している。 きっと今頃は雪が降り積もって、スワンボートは漕げないだろう。 私も、もう漕げないんだ。 終わりにしたのは私なのに、なぜか張本主任からこんな話を聞いただけで動揺している。 遠山さんに谷さんのこと沢山話してしまったせいかもしれない。 なんのせいにしたって、結局、過去には戻れなくて「心臓、痛いなぁ」と小さく呟いた。
/687ページ

最初のコメントを投稿しよう!

200人が本棚に入れています
本棚に追加