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好きになってくれたら、好きになるって言う彼のことだ。
彼女が絶えないとか聞いてた彼のことだ。
気持ちが冷めやすいと言っていた彼のことだ。
きっともう隣には、私の知らない誰かが、私の代わりに笑ってるんだ。
谷さんのお気に入りのソファで一緒にくつろいで、キスしたり好きって言ってもらったりしてるんだ。
お店から外に出た。
空はこんなにも高くて、澄んでいる。
それから、谷さんが好きだと言った湖畔を思い出した。
このところ、雪の日が続いていた。寒さがぐっと増している。
きっと今頃は雪が降り積もって、スワンボートは漕げないだろう。
私も、もう漕げないんだ。
終わりにしたのは私なのに、なぜか張本主任からこんな話を聞いただけで動揺している。
遠山さんに谷さんのこと沢山話してしまったせいかもしれない。
なんのせいにしたって、結局、過去には戻れなくて「心臓、痛いなぁ」と小さく呟いた。
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