In the marble chocolate

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なくなったと思っていたマーブルチョコの筒をテレビ台の下に見つけた。手が届かなかったので、ほうきの柄で引き寄せる。 「谷さん」 少し眺めてから、ゴミ箱にいれようとしたけど、手を止めてしまった。 「好きです」と溢れくてる感情がある。今、はっきり好きだと感じて、また違った涙がでてきてしまう。 そのままマーブルチョコを振ってみるとカラカラと音がする。 そこで、変なことに気がついた。 筒が透明のフィルムにくるまれてない。開けられた形跡があった。 誰か食べた? そんなわけない。 じゃあ、谷さんが食べた? そんな物をくれたってこと? そうだとしたら、本当によくわからない人だったなぁと笑ってしまう。 蓋を開けて、ティッシュに中身を広げた。マーブルチョコが山になって崩れる。 なにかの儀式でも始めるのかな、私。
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