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だって、これをもらったあの日の夜に、このことに気づいたとする。
私はたぶんわくわくして探すだろう。
そして見つけた瞬間、これだけ探してこれですか? って口を尖らすに違ない。
谷さんは、そんな私を見て笑うんだろうな。
そういえば、私にあげたいものがあったと言っていたっけ――。
また胸がズキズキした。
「普通だったら、こんな回りくどい渡し方しないよ」
呟いてみたら、すごく違和感を持った。
なんか違う。
谷さんは、普通だ。
違う。そうじゃなくて。
"俺、自分で普通だと思ってるんだけどね”と谷さんが別れ際に行った言葉を思い出した。
普通ってなんだろう。
そもそも普通なんてもの握りしめてるから、私は奇跡を見逃してきたのかもしれない。なんでも受け入れていいのだと信頼している自分がいたら、きっとこんな幸せにも気づけていたのかもしれない。
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