wereabouts of god

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「さっき、めぐの髪に触れて思い出したけど、あのとき、めぐに出会ってなかったら、俺、美容師になってなかったかもしれないな」 「え?」 「あのとき、めぐがさ、俺が髪いじると喜んでくれて、それがすごい可愛かったんだよなー。そしたらなんか美容師になったほうがいいような気がしてさ。めぐが笑うのが嬉しくて、のせられてなったような気がする」 「そんなの知らないよ」 「言ってねーもん。だから、ある意味、今もめぐと一緒にいるようなものだな。めぐがいなかったら、こうなってなかったし。今、仕事を通して感じられる幸せも味わえてなかったよ。あのときの俺を動かしてくれてありがとな」 清々しく笑うので、頷いた。私の胸の中にも爽やかな風が通るようだった。 「また気が向いたら、髪切りにでも来いよ」 「うん。常連になる。今のさっちになら、ちょっと貢げるよ」 「それもいいな。貢げ、貢げ」
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