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「じゃあ水城さん、幸せですか?」
「さあ」
「教えてくださいよ」
「幸せなんでしょうね」と、前を見つめたまま言う。
「良かったです」
しみじみ噛み締める。良かったと。
話していたら、渡るはずの信号が青に変わった。だけど、彼も私も立ち止まったままだ。
「水谷さんは?」
「私?」
「ええ」
「私は」と言うと、言葉につまった。
幸せだと口にできないのは、隠していることがあるからだと思った。
谷さんを好きだと感じているけど、どうにもできないと、心の奥にまだ置いてある。
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