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「だから、今、必死なんだよ」と、谷さんは静かに言った。
「へ?」
「わかんない?」
繋がれた手に力がこもった。
「とにかく早く行こう」
「どこにですか?」
「なんでって、めぐめぐ、今日なにしにここに来たの?」
「ミアちゃんのお家に遊びに」
「でしょ?」
「そうです。私、忙しいんです。今からミアちゃんの家に行くんですから」
「そう。だから、俺もミアちゃんに会いに行く予定だよ」
「え?」
「正確に言えば、ヒロムくんと、その子供」
「もしかして……」
「産まれたって」と、言うと路肩に停めていた車に乗るように促すので、助手席に座った。
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