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「い……言えません」
「いや、でも」
「はい?」
「すごい度胸だね。感心した」
「度胸ってなんですか?」
「俺には無理だなーと思って……女って恐い」
「はっ?」
隣の家の人、気付いて下さい。
変な男の人に絡まれてます。
わざと声のボリュームを上げているのに、誰もドアから顔を出すこともない。
うう、薄情。いや、留守なのかな。それも困る。
「でも、意外なタイプ」ってヘラッと笑った。
バカにしてるみたいな言い方に、みぞおちがカッと熱くなった。
「なんなんですか?」
「いや、そりゃそっくりそのままお返しするよ」
「邪魔なんで帰って下さい」
そこにいたら、ドアが開きませんとも。
「いや。今日、約束したの俺が先だから。悪いけど、君が帰ってよ」
「なんで私が帰らなきゃいけないんですか? つくづく意味が分かりません。約束ってなんですか?」
「またまた。いやー、俺はびっくりして腰を抜かしそうだよ」
「だから、あなたはなんの話を」
拉致があかない言い争いをしてたと思っていたら、急に視界の中から消えた。
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