tapiocapudding

9/11
前へ
/687ページ
次へ
「い……言えません」 「いや、でも」 「はい?」 「すごい度胸だね。感心した」 「度胸ってなんですか?」 「俺には無理だなーと思って……女って恐い」 「はっ?」 隣の家の人、気付いて下さい。 変な男の人に絡まれてます。 わざと声のボリュームを上げているのに、誰もドアから顔を出すこともない。 うう、薄情。いや、留守なのかな。それも困る。 「でも、意外なタイプ」ってヘラッと笑った。 バカにしてるみたいな言い方に、みぞおちがカッと熱くなった。 「なんなんですか?」 「いや、そりゃそっくりそのままお返しするよ」 「邪魔なんで帰って下さい」 そこにいたら、ドアが開きませんとも。 「いや。今日、約束したの俺が先だから。悪いけど、君が帰ってよ」 「なんで私が帰らなきゃいけないんですか? つくづく意味が分かりません。約束ってなんですか?」 「またまた。いやー、俺はびっくりして腰を抜かしそうだよ」 「だから、あなたはなんの話を」 拉致があかない言い争いをしてたと思っていたら、急に視界の中から消えた。
/687ページ

最初のコメントを投稿しよう!

200人が本棚に入れています
本棚に追加