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プロローグ ~カラフルな橋の下で~
「あー、くそ。俺の敗けだ」
幸先はそう言って、悔しそうに顔を歪めた。
「悪いな。お前の分も頑張るよ」
「……ほんと、神様に選ばれるようなやつは中身ができてるやつばっかだな」
こりゃ勝てねえや、と呟きつつ、幸先は光に包まれていく勝者に笑いかけた。
「なあパレット、世界の"色彩"はお前に任せたぜ」
その言葉を聞いて、パレットと呼ばれた彼は。
先程の幸先よりも、さらに悔しそうに顔を歪めたのだった。
「ああ、任せろ……!」
そう言い残して、"神議"に勝った彼は光になって透き通るように消えていった。
――いや、神様に"昇華"したのだ。
「さて、帰るか」
幸先は色彩の神様になった彼を見送った後、綺麗に畳んで置いてあった黒いトレンチコートを羽織って歩き出した。
これで100回目。またあいつにぐちぐち言われそうだなあ。
そんなことを考えながら幸先は歩みを進める。
「ま、土産にカラフルなチョコでも創ってやるかね」
そう呟いた彼の後ろの空には。
14億5217万色と3億4628万色の虹が二橋架かっていた。
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