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「葵さんを紹介したの私なのよ、その男に。  なーんにも、知らない葵さんは  その男と私が友人だと思ってさ安心しきってんの」 くすくすと笑った彼女は、葵への少なからずの悪戯心で葵への執着心のある、ただの知り合い程度の他人を引き合わせてしまったのだ。 「葵の失踪原因ってソレじゃないとか無いよな?」 地を這うような声が直人から出て、玲奈はギョッとするが直ぐ平然と態度をとる。笑顔を作ることも無い美しい顔を無表情となり直人の怒りの篭った瞳を見つめた 「そんな事、知らないわよ。  もし、そうだったとして、私に関係無いわよね?  別に彼に葵さんを  どうのこうのしてって頼んでもないし」 ただ、二人を引き合わせただけよ。と玲奈は呟く 空調の整った室内は寒くも暑くもないのに、目の前に座る玲奈の浮かべる笑顔の不気味さには背中に寒気が伝わる。 何を考えているのか直人には理解出来ずに怪訝な表情を浮かべたまま、玲奈を睨む 2人の間にはバラードの曲が流れていた。 そのバラードの曲が2人の空気に違和感が漂う 2人の間に重くのしかかる空気の様に感じるが、玲奈の表情が重い空気を少し軽く感じさせるが直人は玲奈とは正反対の表情を浮かべていた。 異様な光景。 「そいつの名前教えろ」 鋭く低い声が重い空気を切り裂くと、ニコニコと笑っていた玲奈の浮かべていた表情を崩し冷たい瞳を宿した目を直人に向け 「教えろ?  それ、人に頼む態度と言い方なの?」 ピクっと動く直人の耳 玲奈の口調が人を嘲笑う言い方をする 口元だけが笑みを浮かべた玲奈は直人が挑発に乗るのを少し期待して、直人を見つめる視線にも挑発の色を足す 直人は一呼吸置くようにコーヒーで怒りの感情を飲み込む。冷静にならなくてはと玲奈の挑発を躱す。見え見えの玲奈の挑発には乗らないように直人はゆっくりとカップを音も無く置く 「まぁ、在らぬ疑惑掛けられても困るからね」 玲奈は口端を上げて、男の名前を口にする。 「あのキモイ男も纏めて消えてくれるなら嬉しいし」 玲奈は上げた口端から、男の名を口にして直人をどう動くかと視線に載せ見つめ、葵さんを紹介したのは後悔はしてないが、葵さんに執着しすぎて気持ち悪い と玲奈は吐き捨てた。 短くなったタバコを玲奈は一度、吸いソレを灰皿に押し潰して火を消した後、灰皿をテーブルの脇に押し戻して、腰を上げて もう話す事も無いと言い店から出るの背中を直人は眺めた。ガラス張りから見える玲奈の姿み視線を向けると、一台の車が滑り込むと玲奈はその車の中へと入っると、車は発進して視界から遠のいた。
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