父と私

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「なるほど。まあとにかく、ここにはその日にこの家を訪れた人の名前がかいてあるというわけなんですね。うちの父親の佐竹という名前もありますし」 「そうじゃの。来た順番にもなっておるよ。」 「そうですか。これ、少しお借りしても大丈夫ですか。調べたいことがあるんです。」 「全然かまわんよ。」 ばあさんは手を振って答える。 「あ、そうだ」 私はその時思い出したように付け加えた。 「田畑さん、あの時計のことなんですがね」 「はいはい、なんじゃね」 「池田の弥次郎さんが持ってきたのでしょうか。一家殺人で唯一生き残ったという」 「違うよ、持ってきたのは駒子さんじゃよ」 「駒子さん?」 私は驚いた思わず聞き返した。父の裁判の資料の中にその名前を見たようなきがしたからだ。 「そうそう、駒子さんじゃよ。池田の家で下働きをしとった子じゃ。彼女はまだ若かったんじゃけどなかなかかわいそうな子でな。随分こき使われてたし・・・・事件ではたまたま離れにおって無事じゃったんじゃと」
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