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それに、私にはそういった感情を差し引いてもある違和感があった。
写真と現実とには、大きな相違があることに気がついたのだ。
「ねえ、田畑さん田畑さん。この写真には、小さなツボみたいなのがうつってるよねえ。ほらほら、ちょうど、父さんの真横で、桐ダンスの隣に。これ、どこへ行ってしまったの」
「ああ。これかね。」
田畑のばあさんははっと思い出したように言った。
「これはのう。他のものにあげてしまったんじゃ。確か、三軒隣の池田さんじゃったかの。
そうそう、あの池田さんじゃよ。池田さんの次男の弥次郎がもっていったんじゃ。
ほれ、この日はちょうど家のせがれらがここから引っ越すゆうてたから、近所中の人に頼んで引っ越し作業を手伝ってもらっとったんじゃ。もちろんそんなかにはあんたのお父さんもおった。」
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