父と私

8/11

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「ちょっと待ってな・・・・そのことは裁判では全く話にもならんかったことじゃからのう。帳簿にでもつけとればいいんじゃが。」 そういうとばあさんは立ち上がり、家の奥のほうに入って行った。 ガサゴソと何かを探すような音がする。 私が大人しく待っていると、十五分ほどしてばあさんが戻ってきた。 手にはかなり黄ばんだ冊子を持っている。 「ほら、これじゃこれじゃ。事件当時のもんはなんか捨てられんくてな。とっておいたんじゃよ」 そういうとばあさんはパラパラと冊子のページを繰りはじめ、少ししたところでその指を止めた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加