再会

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・:*:・:・:・:*:・ 翌日、ふじ乳業を名乗る女性から電話があった。 今夜、お詫びに伺いたいと。 私は帰宅時刻である19時を指定した。 私が帰宅して10分後、アラームで計ったかのように19時ちょうどに玄関のチャイムが鳴った。 インターホンで確認すると、玄関に立っているのは、あの時の男性だった。 私は、ドアを少しだけ開けて様子を見る。 隙間から冷たい風が吹き込み、上着を羽織って来れば良かったと後悔した。 「こんばんは。宇佐美 菜穂(うさみ なほ)様でいらっしゃい  ますか?」 穏やかな優しい声は、あの時と同じだった。 「はい」 「わたくし、ふじ乳業の藤谷と申します」 藤谷と名乗るその男性は、半開きのドアから名刺を差し出す。 私は首を傾げながらそれを受け取った。 あれ? プロのカメラマンじゃなかったの? そう思って名刺を見ると、肩書きには広報部長と書かれている。 え!? この人、いくつ? 30過ぎかと思ってたけど、違うのかな? 「今回、イメージにぴったりだと思い、  あの時の写真を使用させていただき  ました。ご迷惑でしたでしょうか?」 優しい物腰に、つい大丈夫ですって言いそうになる。 「当たり前です。  私はモデルでも芸能人でもないんですよ?  それが突然、街中にあんな大きなポスター  貼られて、困ります」 「そうですよね。そうおっしゃると  思ってました。分かってます。  だけど、こうでもしないと、もう一度君に  会えないと思ったから…… 」 え? 今、なんて? 「どうしても君に、  もう一度会いたかったんだ」 「どうして…… 」 あの時、何があったわけでもない。 私はただ剛士(つよし)を思って海を眺めてただけ。 その姿を勝手に写真に撮って連絡先を聞かれた。
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