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自覚
私たちは、そんな風に毎週デートを重ね、クリスマスもバレンタインも高校生のように健全にプレゼントの交換をして過ごした。
和真さんがそばにいてくれることが心地いい。
そんな風に思えるようになってきたけれど、剛士が私の心から消えたかというと、そうでもなくて、私は、未だ、自分の心を測れずにいた。
そうして、3ヶ月が経った頃、和真さんが言った。
「悪い! 俺、3ヶ月じゃ諦めきれない。
あと3ヶ月、延長したい」
自分の心が推し量れない私は、なんて答えればいいのか分からない。
断るべき? それとも応じるべき?
私が迷っていると、和真さんは切なげな目をして言った。
「菜穂、ダメか?
俺と一緒じゃ笑えないか?」
そんなことない。
私は首を横に振る。
アウトドア派の彼は、いつも私を外に連れ出し、振り回し、気づけば笑っている。
ただ、私の心から剛士が消えないだけで……
「じゃあ! あと3ヶ月!
よろしく!」
手を差し出した和真さんはとても嬉しそうに破顔した。
スキー三昧だった冬も終わり、春になった。
花見をし、キャンプをし、サイクリングをし、やはり和真さんは私を外へ外へと連れ出そうとする。
そうするうちに、私は気づいた。
剛士が私の中から消えることはない。
けれど、和真さんも私の心の中に常にいるということに。
私は剛士を忘れることなく、別のところで和真さんに惹かれている。
いつも私を振り回す和真さん。
それでいて、いつも私を気遣い、守ってくれる和真さん。
強くて優しくて強引で……
そんな和真さんが、私は好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた私は、2度目の3ヶ月が終わる日にこの気持ちを和真さんに伝えようと心に決めた。
ところが、その直前の6月6日、和真さんは私をあの海岸に連れてきた。
私にとっては辛い海岸。
今日は、剛士の三回忌。
和真さんにとっては、私と初めて会った思い出の海岸なのかもしれない。
今日という日も、記念日なのかもしれない。
私は、あえて剛士のことには触れないことにした。
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