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そして、私がつれてこられたのはLL準備室だった。LL準備室は、英語科の先生が授業がないときに過ごす部屋だ。
ということは間違いなく、助けてくれた女の人は、英語の先生なのだろう。
「大丈夫だった?」
優しい声でそう聞かれる。そこで、やっと、私はその女の人の顔をみた。
「・・あっ、あ、み、宮野先生・・・。わ、わた、わたし、」
その女の人は、放課後バス停でたまに会う、最近ちょっと仲良くなった英語科の宮野和美先生だった。
宮野先生に答えようと思って発した声は、とても震えていた。
「わた、わたし、その、あの、こと、ことわった、断ったのに。」
話しているうちに、涙がこぼれてくる。震えも激しい。
フワッ。
そんな私を、宮野先生は抱き締めてくれた。
「大丈夫。大丈夫だからね。」
そして、背中を優しくポンポンしてくれる。
その優しさに、また、涙がこぼれる。
「ごめ、んなさ、い。服、ぬれちゃう。」
「服なんて気にしなくていいの。怖かったね。大丈夫だから、しっかり泣いていいんだよ。」
そういうと、宮野先生は私を抱き締める力を強めた。
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