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「裕太、本当によく頑張ったね!」
私が裕太に声をかけると裕太が、
「ごめんな明音!
甲子園に連れていく約束守れなくて…」
と私に謝ってきた。
「ううん、私を野球部に誘ってくれて、裕太には感謝しているよ!
野球部の皆が私を快く仲間として受け入れてくれて嬉しかったし、野球部の皆が頑張る姿を見て私はとても元気をもらったよ!」
私は裕太に、心から感謝の気持ちを伝えた。
「そうだ、今この時の写真撮らない!
泣き顔はダメ!
県大会準優勝記念の写真だからね…」
私が皆に提案するとキャッチャーの敦紫君が音頭を取り始めた。
「うん、撮ろう!
皆裕太の周りに集まって整列して…
明音は裕太の隣ね!」
するとそこに監督が選手控室に入ってきた。
「あれ、試合負けたのに何で皆笑顔なんだ!
すっかりしょげ返っていると思って慰めに来たのになぁ…」
その監督の言葉を聞いて、選手の皆がさらに笑い始めた。
「監督、私達の写真撮っていただけますか?
県大会準優勝記念の写真です。」
監督はあっけにとられながら、
「いいよ、撮るよ!」
と私のお願いを聞き入れてくれた。
「それじゃ撮るよ!
しかし皆良い顔してるねぇ…
準備はいいかい!
はい、チーズ!」
監督が撮った写真は、野球部員皆の宝物になったに違いない。
こうして裕太と私の最後の高校の夏が終わった。
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