冠着山

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「改めて聞く、何を悩んでおる。」 「はい、神様、実は私は年老いた母と二人暮らしなのでございますが、その母が病に臥せっておりますので毎日、看病して手当てを受けさせているのでございますが、一向に良くならないものですから看病に疲れ、お金に困り、全く首が回らないのでございます。」 「おう、そうか、なら、丁度いい。お前も知っとるだろうが、この冠着山はまたの名を姥捨て山と言い、その昔、お前みたいに病気の婆を抱えて生活に困っとる者が夜更けにこっそり、この山奥まで婆を背おって来て闇から闇に葬るように捨てていったものじゃ、じゃから、お前もそうしたらええがね。」 「ええがねって急に名古屋弁で言われましても、そんなことしたら天罰が下って」と小太郎が言い掛けたところで老人は容喙した。
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