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「どうじゃ、これを欲しくないか?」
「あっ、あの、これは本物のお金が入っているのでございますか?」
「そうじゃ、一つの箱につき千両入っとるぞ。」
「せ、千両!」
「ふふふ、目の色を変えよって、欲しいじゃろ。」
「は、はい!」
「じゃったら母をこの山奥へ捨てに行くのじゃ。わしはこの一万両と共に一晩中ここにおるから、お前が今晩、母を捨てに行くのを見届けたなら帰りにお前にこれを全てくれてやろう。大八車付きでな。わしはお前のためを思って言っておるのじゃ。さあ、どうじゃな。」
小太郎は母に申し訳ない気持ちから暫しの間、逡巡しておったが、こみ上げて来る喜びを堪え切れず、こう答えよった。
「はい、神様の御意に従いたいと存じます。」
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