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名古屋の中心部から離れたとある商店街、時刻は深夜近く。赤提灯のお店が二、三軒やっているのみで、辺りは暗い。
「じゃぁ、先に帰っとるね」
ニーテールの女、早苗は、エプロンを外し、店主に声をかけた。
「おつかれさまです」
中国料理店の店主、陳陽光が、いつも通りの笑みを浮かべて手を振る。
早苗は、コートを羽織って外に出た。木枯らしが冷たい。雪でも降りそうだ。
小走りに自宅アパートへと向かう。アパートへは、徒歩十分程。
((明日の朝御飯何にしようか、陽光とモーニングに行くのもいいかな))
そんなことを考えながら路地に入る。
アパートに近道の路地。人通りも街灯も少なく、一層暗さを増す。けど、早苗にとってはいつも通り通いなれた道で、怖くはなかった……。
数時間後、同じ道を通った陳は、薄明かりの中倒れている早苗の前で、立ちすくむのだった。
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