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 私も犬は好きだったし、その仔犬は本当にかわいかった。数日後、仔犬は私たちのものになった。シャンデリアを買うための予算はすべて仔犬につぎこまれた。  仔犬は私たちのリビングを走り回って、買ったばかりのカーペットを毛だらけにし、たっぷりおしっこをした。 「しつけが必要だな」  彼はそう言って、いそいそと犬のしつけの本を買ってきた。  夜、仔犬はリビングのケージに入れられた。暗い部屋にひとりぼっち。寂しいのか、くぅんくぅんと泣いている。  しつけの本にはこうあった。『夜、仔犬が泣いても決して見に行ってはいけません。泣き癖がつきます。最初が肝心です』と。  私たちは、しばらくベッドで仔犬のくぅんくぅんを聞いていた。私は彼に足を絡めようとした。  くぅんくぅん。 「もうダメだ」  彼はそう言うとベッドを出て、リビングに行ってしまった。私は、ベッドにひとり残された。
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