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健太の家の造りを頭にインプットした後、俺は若菜と駅へ向かう。
いつまでも外にいると暑いし、とりあえず上り電車で都心に出る。若菜が楽器屋に寄ると言うので軽く食事をしてからそれに付き合って、その間に行先をサッと携帯で確認しておいた。
次いつ二人で会えるか分からない貴重なデートを、このまま健全に終わらせる気はない。
都内のターミナル駅。
少し裏に入れば、いくらでもいかがわしいホテルがある。
昼間っから、当然営業中だ。
でも俺は、別に潔癖症なわけじゃないんだが、どうもそのためだけのホテルというのは入る気がしない。
なので、昨晩コソッと下調べしておいた、ちょっとオシャレなブティックホテルに若菜を連れ込むことにした。結局はただのラブホなんだけど、まぁ気持ちの問題だ。
通りすがりに目についたから連れ込むんじゃなくて、前日から予約してあった目的地として行くっていう…自分で言っててもよくわからないけど、俺の中での最低限のラインというか。
…派手にご休憩いくらとか、看板が出てるのも嫌なんだよな。やるだけのための場所、みたいな感じがして。いや、その通りなんだけど、ちょっと包み隠してほしいというか。ここはネット予約ができて、表にもあからさまな広告は出ていない。知らければ小綺麗なビジネスホテルに見えなくもない。
ここまでは予定通りの時間で動いているので、2時から部屋を予約してあるのにジャストタイムだ。
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