プロローグ

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 ガウルの話によると、キットは10日ほど前にテムドの洞窟に出掛けたらしい。  テムドの洞窟はルコダの街の近くある洞窟で、その奥には、色んな薬の材料になるハテナシ草が生えているという。  キットはそれを取りに行くため、一人で出掛けたというのだ。 「村からルコダの街へは2日ほど。さらに街から洞窟へは丸一日。7日もすれば戻ってくると、父親のデイズは思っていたようじゃが……」 「戻ってきて……ない?」 「うむ。デイズは『キットを探しにいく』と言い出したんじゃが、最近は魔物の数も増えたからな……。皆で止めたんじゃ。そしたら、今度はドイルが行くと言い出しおった」 「えっ? ドイルが?」  ガウルは頷く。 「ドイルならば任せられるという事になったんじゃが、キットだって剣の心得はあった。それでも戻って来ないとなると、さすがに独りでは心配だと思ってな」  そう言うと、ガウルは懐から紙束を取り出した。それには、『人探しに協力してくれる者を求む。報酬額3000ルーク』と書かれている。 「ドイルに協力してくれる者を探そう思ってな。村人に協力してもらい金を集めた。この貼り紙を見て、誰かが名乗り出てくれるといいのじゃが……」 「そうか……」  話を聞き終えたアレスは、ぐっと握りこぶしを作るとガウルに向かって言った。 「だったら俺がやるよ。キットは友達だ。俺がやるしかないだろ?」
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