ピントを写真家に合せた日

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 当時の梨花は、どこにでもいる高校生だった。毎日、意味のない写真ばかり撮り、スマホのデータは動画や写真でいっぱいだった。 「あー! 手ブレハンパないんだけど。全然、映えないー」 「きゃはは。梨花下手くそすぎ! ウケんだけど」 「早くしないと、アイス溶けちゃうよ」  友達の香蓮と凛子を連れて、毎日、映える写真を撮る。  意味なんてない。ただ、可愛いと楽しいが原動力だ。  見た目が美しければ、それだけで承認される。今さえ撮れれば良い。少なくとも梨花が大切にするネットワークでの写真は、それだけだった。  特に、デカ盛りシリーズと記した映え写真は、沢山の人に認められた。  今思えば、認めて貰ったのは自分達ではなく、被写体である料理達だったのだが、高校生の梨花達には関係なかった。
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