ピントを写真家に合せた日

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 しかし、梨花の師匠、坂月と出合ったのは、そんな意味のないデカ盛りシリーズ写真がキッカケである。そのせいか、今でもデカ盛りに心惹かれるところがある。 「さぁ、写真も撮ったし、タワーパフェ食べるぞー!」  多分、十人前はあっただろう巨大で、そびえ立つパフェは、三人で食べきるなんて出来ないはずなかった。それでも、若気の至りとして私達は注文した。この頃、とても話題になっていた流行りでもあるし、何より巨大なパフェを見たかった。  盛りに盛った生クリームとアイス。無造作に刺さったプレッツェル、クッキー。プリンやロールケーキ、シュークリームまで、くっついている。彩りを添えるどころか主張の激しいバナナやメロン、イチゴなどの果物は、豪快なカットが施されていた。  メロンは玉状にくり抜かれ、バナナは縦半分にしかされずにクリームの海にペタリと貼られていて、イチゴはヘタ付きのままクリームに陥没していた。
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