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チョークを手に教室に戻る。
既に登校してきた級友たちがいた。その中には、幸子の顔もある。
「博美ちゃん、お疲れ様ー」
幸子は談笑していた級友との会話を切り上げ、博美の元へ駆け寄ってきた。
にこにこと人好きする笑顔を浮かべている幸子に博美はため息をつく。
「なんだい、また新しい話かい?」
噂好きの幸子。色々な話を集め、それを博美に聞かせるのが彼女の日課になっている。
この前は、学級の担任教師である四十万が恋文を貰っていたという情報を話してきた。
博美に真偽のほどはわからないが、わかりやすい授業と優しく人気も高い四十万になら、恋文を出す生徒もいるだろう。
(また先生の話?)
その続きだろうかと博美は心の中でため息をつく。
先程、職員室にチョークを取りに行った際に見かけたが、特に挨拶もせず戻ってきてしまった。
博美には日直の仕事があり、四十万も授業の準備に追われていたようだから仕方ない。
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