最初のほし

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葵は荒い息を繰り返しながら、信じられない気持ちで自分の体を見下ろした。 化け物から逃げていたせいで、服はあちこち破れたり汚れていたが、かすり傷以上の怪我はない。剣を持つ手も何の変化もないが、初めて握った剣は、しっかりと手に馴染んでいた。 星空に掲げるように剣を持ち上げ、はっきりとしない頭で葵は剣を見つめた。 葵が創り出した刃は、思い浮かべたものとやや違っていた。やや刃の幅が広い上に、桜の模様もあまりきれいではない。柄と組紐の色合いも合っていない気もするし、勾玉は明らかに邪魔だ。 (幅はもう少し狭くて、刀身はもう少し長い方がいいな。柄は緑で、指を掛ける突起があった方がいいかも。鍔は刀身に桜があるから、枝をモチーフにして、曲線状のものにして、どうせなら殴り付けられるようにしよう。) アイデアは、次から次へと沸いてくる。手の中の剣を撫でながら、葵はゆっくりと息を吐いた。 化け物への恐怖感は完全に去り、沸き上がってくる高揚感だけが葵の体を包んでいた。 (剣を創れた。炎を出せた。摩訶不思議な力が、私に宿っている。) 体の奥から、熱いものが溢れてくる。両手は見えないオーラを纏っているような気がして、足は何処までも走り続けるような気がした。 叫びたい、走りたい、創りたい。 溢れる気持ちは、どこまでも熱かった 熱さを抱えながら車に戻ると、葵はなんでも入る四次元鞄を作った。そこに剣を入れると、葵は鞄を抱き締めた。願い続けた力は、今、ここにある。これからは、自分が作っていく未来だ。 溢れた笑い声は、車内に高らかに響いた。
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