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 みんながそっと吹き消すように写真の『彼』の話しを終わらせた頃、私は中庭で、彼と一緒に写真を覗き込んでいました。  ここで出会った彼は、男子側を一人で探してくれているようでした。  彼は、なんだか自分だけがみんなの知らない謎を知っているようで、ちょっと面白い、と笑います。  しかしながら、私も彼も、成果は芳しくありません。  あいにくの雨でしたが、やはり『彼』の話しをするなら中庭だろうと謎の意見の一致を見た私たちは、わざわざ中庭の四阿へ駆け込みました。  雨に色のくすんだ庭園は、いつもの明るいエメラルドとはまったく別の姿をしています。 「少し気になることがあるんだけど」  ふと、屋根を叩く雨の音を後ろに、彼は呟きました。 「制服、冬服なんだよな。 少し時間が経っているから、髪型とか変わってるかも」 「なるほど… 画像を加工してみましょうか?」 「真面目そうだから可能性は低そうだけど、髪色とか変えてみるか」  二人で頷きながら、タブレットの『彼』の髪型や髪色を少しずつ変えてみました。なるほど、髪色を少し変えるだけでも十分印象が変わるものです。  しかし、やはりあの柔らかな笑みはそのままで……  ふと、彼が「おっと…」と小さく驚きました。どうやら、操作を誤ってしまったようです。  白髪の『彼』がそこにいました。  不意に、私と彼の間に、ぽかんと空気が空きました。そこを埋めるように、雨音が。 「…… さすがに、これだったら一発で見つけられるよな」  そう言いながら、彼は、少し躊躇うようにしながらも、髪色をもとに戻しました。
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