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「遥、お前に渡したい物があるんだ」
誠吾はそう言うと、包みの中から小さな箱を取り出した。
「これ、何ですか?」
「いいから開けてみてくれ」
遥は首を傾げながら、言われた通りに小箱の蓋を開けて……言葉を失った。
「誠吾さん、これ………」
箱の中には華奢なデザインの銀色に輝く指輪が収められていた。
誕生日………でもなかったはず。
これは一体どういうことなんだろうと、遥の頭の中は真っ白になる。
「独占欲の塊だって俺も分かってるんだけどさ……。指輪でもつけといてくれたら、遥が誰のものか見てすぐ分かるだろ?」
「僕は…誠吾さんの、ものですよ?」
「俺と離れてる時間も、遥に俺の存在を感じていて欲しいんだ……駄目か?」
遥はふるふると首を横に振って、緊張で震える手で指輪を取り出すと…。
「これ、どの指に、嵌めたらいいんでしょう?」
「貸してみろ」
誠吾は遥から指輪を受け取ると、遥の左手を取って薬指にゆっくりと指輪を嵌めた。
「綺麗………」
遥の薬指に指輪がきらきらと輝く。
遥が眠っている間に指のサイズを確認しておいたので、指輪は最初からそこにあったかのように自然に遥の指に収まっていた。
「誠吾さん、すごく、嬉しいです」
「俺も、遥が指輪を受け入れてくれて嬉しいよ」
「すごく、すごく、嬉しいです」
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