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池田は捕まったが、まだ悟は逃げたままだ。
再び自分が高校に通うことで、また多くの人を危険に晒すのではないのか……。
せっかく誠吾に背中を押されても、遥にはなかなか決断できなかった。
「山根にも叱られたしな。遥の好きにさせてやれって。青山にも……山田にも言われたんだ」
「青山さん、と、山田さんが…?」
あれから、山田は青山の預りで下働きのようなことをしている。
先日、二人揃って誠吾の元へ遥の高校の件で話をしに来たのだ。
「姐さんを復学させてあげてください」
「おざ……いや、姐さんを、今度こそ俺と青山の兄貴でお護りします。お願いします」
深く頭を下げる二人に、その時の誠吾は分かったと言えなかった。
二人がかりで護ってもらえるなら、いくらか安心だろう。だが、遥が狙われるリスクを下げるためにも高校は辞めさせようと思っていたのだ。
「アイツらも遥のことが好きなんだな。学校に復学させてやってくれと、頭を下げに来たぞ」
「そんな……二人とも、ひどい目に、あったのに……」
僕のせいで……あんな目に遭ったのに、復学してもいいって言ってるの?
みんな……みんな優しすぎるよ。
「遥が通いたいなら……。俺は心配はするが、応援もするぞ」
「本当に、また、学校、いいんですか?」
誠吾は泣きながらもおずおず尋ねる遥に、やはり学校を辞めたくなかったのだと改めて感じた。
「まあ、明日の検査結果次第だけどな」
「はい。ありがとう、ございます」
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