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いつも大人で余裕のある誠吾が、こんなに赤くなって慌てる姿を見たことがない。
誠吾を慌てさせているのが自分なのだと思うと、嬉しくて堪らなかった。
「気持ちよかった、ですか?」
「気持ちよかったよ…。良すぎて怖いくらいだわ」
誠吾は遥を抱き締めてキスをした。
精液の味がして、自分の出したやつかよと思うと恥ずかしくなったが…遥がここまでしてくれるのが嬉しかった。
「誠吾さん、僕と、できなくて……大丈夫、でしたか?」
「ん?ああ……。まあ、毎晩風呂で抜いてたからな。大丈夫だぞ」
風呂で……そう聞いて遥の顔が赤くなる。
冴子のような綺麗な人と仕事で関わりがあったとしても、誠吾が浮気をすることなどないのだ。
少しでも心配だなんて思って…誠吾さんに申し訳なかったな……。
「だいすき、です」
「ああ……。俺もだよ」
再びキスをして、お互い照れくさくてふふっと笑う。満ち足りて幸せだった。
いつまでもこうして二人でいたい。
抱える想いは同じだ。
「尾崎さん、数値がだいぶ改善しましたよ。激しい運動をしなければ普通の生活に戻っていただいて大丈夫です」
翌日の診察で、医師から告げられた言葉に遥は飛び上がらんばかりに喜んだ。
「本当、ですか。学校も、また、行けますか?」
「ええ。体育は引き続きお休みしていただければ大丈夫でしょう。言葉も、随分リハビリを頑張りましたね」
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