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「はい。もっと、頑張ります」
にこにこと笑いながら遥は隣に立つ誠吾を見上げた。
誠吾も笑いながら遥に「良かったなぁ」と答えてくれた。
会計を済ませて病院を出ると、遥は大きく伸びをした。
皆から心配されて何もさせてもらえなかったが、やっと無罪放免になった気分だ。
「学校はどうする?青山と山田にも遥が復学するなら日にちを教えてやらないと…」
「本当に、いいんですか?お二人は、また、僕と、学校に行くの……」
「アイツらが望んでんだ。お前と学校に通いたいってな」
本当に……僕の周りは優しい人ばかりだ。
僕は本当に運がいい。
こんな優しい人達に囲まれて生きていけるのだから。
「帰ったら、僕からも、お二人にお願いして、みます」
「ああ。アイツらも喜ぶと思うぞ」
誠吾が遥の手を取った。
こんな昼間に人通りの多いところで手を繋ぐのは恥ずかしい。だが、誠吾は全く気にしていないようだ。
堂々と手を繋いでくる誠吾の手を、遥はきゅっと握り返した。
こんな人目の多いところで手なんて繋いだら遥は嫌がるかな……そう思いながらも、誠吾は遥の手を取った。
可愛い遥が人目に触れている。
道行く男性達が振り返って遥を見るのが我慢できなかったのだ。
遥は恥ずかしそうにしながらも、きゅっと握り返してくれた。
恋人と手を繋いだくらいで、こんなに浮かれちまって……俺もヤキがまわったかな…。
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