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「あ、やっと来た」
小柄な中年女性が笑顔で近付いてきた。
この人は……先生なのだろうか?
「遅れてすみませんでした。えっと……貴方は?」
遥の質問に女性は笑顔で答える。
「私は柴田です。お二人とは同級生になりますね。よろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします。僕は尾崎遥と言います。こちらは従兄弟の青山涼太です」
遥がぺこりと頭を下げたので、青山も遥に習って頭を下げた。
「へぇ~従兄弟なんだ。全然似てないね」
茶髪のチャラチャラした……いかにもホストっぽい若い男性が近付いてくる。
華やかなオーラに遥は圧倒されてしまった。
この人も……同級生なんだよね?
「あ、俺はヒカル。よろしくね~遥ちゃん」
「ヒカルって……本当は泰造でしょ」
後ろから派手な外見のいかにもギャルといった女の子が声を掛けてきた。
「アタシは真凜。浦川真凜、よろしくね」
「尾崎です。よろしくお願いします」
教室にはあと、机に突っ伏して寝ている金髪の若者と、俯いてこちらを見ようとしない女子生徒が居る。
年齢も職業もバラバラな感じで、これが定時制高校なのだなと遥には新鮮だった。
「遥ちゃん、凄く可愛いわねぇ。仕事は何してるの?」
「えっと……寮の管理人、みたいな…」
ヤクザの本家で家事一般を行っていますなどとは言えない。
誠吾にはトラブルに巻き込まれないためにも、黒川組の名前はなるべく出すなと言われている。
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