第7夜

6/25
前へ
/232ページ
次へ
帰宅して、遥はまず青山と話をしに正蔵の部屋に向かった。 「姐さん、お帰りなさい。病院は如何でしたか?」 「大丈夫、でした。あの、来週から……学校に、戻ろうかと、思うのですが…」 「本当ですか?病院と若頭からお許しが出たんですか!」 青山は心底良かったという顔をして手を叩いて喜んでくれた。 「また、一緒に、通ってくれます、か?」 「ぜひお供させてください!俺…何があっても姐さんを護りますから…」 実直な青山の言葉が遥の胸を打つ。 自分のせいで何度も危険な目に遭ったと言うのに、こうしてまた助けてくれようとしているのだ。 「ありがとう、ございます。また、よろしく、お願いします」 「こちらこそ、よろしくお願いします!」 青山と話した後、遥は山田が詰める下積みの部屋に向かった。 久しぶりに会う山田は、長かった金髪を短く刈っており、こざっぱりとしていた。 「おざき……いや、姐さん…」 「尾崎で、いいです、よ」 遥が笑いながらゆっくりと話すと、山田は苦しそうに顔をゆがめた。 「まだ……言葉が……」 「だいぶ、上手になった、でしょう?もっと練習して、前みたいに、すらすら話せるように、なりますから」 にこにこと笑う遥の顔が山田には直視できない。薬を使われて無理強いされたとはいえ、自分は遥に口淫をさせて…レイプもするところだった。 遥はそれが嫌で舌を噛んで、こんな大怪我をしたのだ。 どんな顔をして話せばいいと言うのだろう。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2798人が本棚に入れています
本棚に追加