2798人が本棚に入れています
本棚に追加
帰宅して、遥はまず青山と話をしに正蔵の部屋に向かった。
「姐さん、お帰りなさい。病院は如何でしたか?」
「大丈夫、でした。あの、来週から……学校に、戻ろうかと、思うのですが…」
「本当ですか?病院と若頭からお許しが出たんですか!」
青山は心底良かったという顔をして手を叩いて喜んでくれた。
「また、一緒に、通ってくれます、か?」
「ぜひお供させてください!俺…何があっても姐さんを護りますから…」
実直な青山の言葉が遥の胸を打つ。
自分のせいで何度も危険な目に遭ったと言うのに、こうしてまた助けてくれようとしているのだ。
「ありがとう、ございます。また、よろしく、お願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
青山と話した後、遥は山田が詰める下積みの部屋に向かった。
久しぶりに会う山田は、長かった金髪を短く刈っており、こざっぱりとしていた。
「おざき……いや、姐さん…」
「尾崎で、いいです、よ」
遥が笑いながらゆっくりと話すと、山田は苦しそうに顔をゆがめた。
「まだ……言葉が……」
「だいぶ、上手になった、でしょう?もっと練習して、前みたいに、すらすら話せるように、なりますから」
にこにこと笑う遥の顔が山田には直視できない。薬を使われて無理強いされたとはいえ、自分は遥に口淫をさせて…レイプもするところだった。
遥はそれが嫌で舌を噛んで、こんな大怪我をしたのだ。
どんな顔をして話せばいいと言うのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!