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「本当に………申し訳ありませんでした…」
「僕こそ、ごめんなさい。嫌な思い、させましたよね…」
山田も悟のお遊びに巻き込まれただけだ。
あんなことはしたくなかっただろうに………遥には山田が気の毒にしか思えなかった。
「来週から、また、学校に戻ろうと、思うのですが…。一緒に、戻って、もらえます、か?」
「あ、ああ…!勿論!」
ありがとうございますと、遥は深々と頭を下げた。
「ちょっと…おざ…姐さん!俺なんてここの一番下っ端なんだから頭なんか下げないでくれ……いや、ください」
行き場のない山田がヤクザになろうと思った時、本当は黒川組で世話になりたかった。
鬼の黒川と呼ばれる若頭の誠吾に憧れており、その下で働きたかったのだ。
だがしかし、高校を卒業してから来いという正蔵に袖にされ、仕方なく羽鳥組の門を叩いた。
まさか自分が黒川組に入れてもらえるとは思ってもいなかった……。
それもこれも、目の前で穏やかに笑っている遥と出会ったおかげだ。
「おざき……じゃない、姐さんは若頭の恋人なんだから、俺に命令してくれていいのに」
「同級生に、命令なんて、変ですよ」
そう言って遥はまた笑った。
学校でも思ったが、遥はよく笑う。
学校でも人気者になっていたが、黒川組でも絶大な人気を誇っている。
尾崎と居ると、ホッとして安らぐからな…。顔も……可愛いし…。
あの小さな口で俺のを咥えてくれたんだよな………。
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