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「今日は……最後までしていいか?」
「はい…。して、ください」
遥を抱き上げてベッドに横たえて、誠吾が遥に覆い被さろうとした時……。
「ボス、ちょっとよろしいですか?」
ドアの外から山根の声がした。
誠吾は無視して行為を続行しようとしたのだが「ボス!ボス!聞こえてますよね?」と、山根は空気を察してはくれない。
誠吾は大きな溜息をつくと、頭をガシガシ掻きながらドアを開けた。
「何だよ……」
「お邪魔でしたか?」
「お前…察しろよ。これからって時によ…」
「すみません。少し親父さんの部屋に来ていただけますか?」
正蔵の部屋に来いということは、何か大事な話があるのだろう。
遥に待っててくれと声をかけて、誠吾は山根と正蔵の部屋に向かった。
「親父、何があった?」
「二階堂から連絡があってな……。新しく若頭になった黒崎ってのがいるだろ?」
二階堂組で若頭になった黒崎のことは誠吾もよく知っている。
インテリ眼鏡で嫌味ったらしく、誠吾は苦手としていた。
「黒崎がどうかしたのか?」
「組長が言うには、黒崎が悟と通じてるんじゃねぇかって……」
「は?だって悟は二階堂を追われてんだろ?そこの若頭と繋がってるなんて変じゃねぇか」
そんなのは有り得ないだろうと誠吾は思った。
組長に黙って薬を取引したり黒川に戦争を仕掛けようとしたり、やりたい放題の悟を二階堂が黙って許すはずなどないではないか。
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