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確かに誠吾と自分が付き合っている以上、自分と親しく話す山田が他の組員たちに何か言われるのは気の毒な気がする。
「では、学校と、二人きりの、時だけは、
普通に、友達として、話してくれます、か?」
「あ……ああ。それなら……」
遥に友達と言われて、山田の胸はほわっと温かい気持ちになった。
あんなことをしたのに、まだ友達だと思ってくれているのが嬉しい。
「尾崎は………どうして若頭と付き合ってるんだ?お前、真面目だし……ヤクザの世界とは関わりなく生きてきたんだろ?」
「誠吾さんは、僕が、困っていた時、助けて、くれたんです。優しくて…どんどん、惹かれて、いきました」
恥ずかしそうに話す遥も、誠吾のことが好きで堪らないと言った様子だ。
「そうか…。いや、若頭はこの世界では有名な人だから…。あんな人と付き合ってるなんて、尾崎は凄いな」
「格好良い、ですもんね」
にこにこと遥が話していると「誰が格好良いんだって?」と、当の誠吾が顔を見せた。
「若頭!おはようございます」
「おう、おはよ」
誠吾は挨拶をする山田に軽く頷いて答えると、すぐに遥の腰に手を回してぎゅっと抱き着いてきた。
「なあ、誰が格好良いんだよ。朝から穏やかじゃねぇんだけど」
「誠吾さん、の、話を、してたんです」
遥がそう言うと、誠吾は嬉しそうにニヤッと笑った。
「じゃ、遥が格好良いって言ったのは俺のことか?」
「そうですよ。誠吾さん、格好良くて、素敵です……」
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