第7夜

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「若頭、尾崎の前だと全然違うんだな」 「誠吾さん、いつも、あんな感じ、じゃないんですか?」 全然違う。 もっと強くて男らしい感じなのに…。 「いや、そんだけ尾崎に心を許してるんだろうな」 「だったら、嬉しい、です」 遥はそう言って笑うと、朝食の準備を進めていった。 続々と組員達が起きてきて、台所を手伝いに来たため、台所には人が溢れて山田は台所から弾き出されてしまった。 「おう、山田。おはよ」 「青山の兄貴、おはようございます」 起きてきた青山が、台所にチラリと視線を向けて苦笑する。 「姐さんが久しぶりに台所に立ったから、弾き出されたんだろ?」 「あ……はい。凄いっすね…、皆さん我先にと手伝い始めちゃって…」 「姐さんはうちの組のアイドルだからな」 確かにアイドルという言葉がピッタリだ。 ヤクザがこぞって朝食の支度を手伝っている光景は、不思議なものだ。 だが、皆遥を中心に楽しそうだ。 「ここは……明るくて、温かいっすね…」 「うちがこんな雰囲気になったのは、姐さんが来てからだよ。姐さんが笑ってくれてるから、皆姐さんに救われてんだ」 遥のために頑張りたい。 遥を守りたいと言う気持ちで、組は一つに纏まっている。 「お前も、もううちの家族だ。姐さんのことは大事にしろよ」 「はい……」 家族……。 初めて家族と呼ばれるものを持てて、山田は心から嬉しかった。 遥との出会いが自分をここに導いてくれたのだ。 遥にはあんなことをしてしまった負い目もある。絶対に遥を守っていこうと山田は心に誓った。
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