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「こんな可愛い顔してるのに仕事は地味なんだね。青山君は何の仕事?」
「俺は……遥、と、同じ職場、です」
茶髪の若者の近すぎる距離感に、ぶっ飛ばしてやりたいという気持ちを押さえて青山はゆっくりと答えた。
くれぐれも騒ぎを起こすなと誠吾に言われている。初日から喧嘩をする訳にはいかない。
「目つき鋭いし鍛えてる感じだからボクサーか何かだと思ったよ」
「泰造はホストなんだよね~」
「真凜!俺のことはヒカルって呼べよな。お前だってキャバ嬢なんだから俺と大差ないだろうが」
ヒカル(泰造)さんはホスト。
真凜さんはキャバ嬢。
遥は二人の特徴と仕事を記憶した。
どちらの職業の方もお会いするのは初めてだ。
「私は主婦よ。子どもが三人居るの」
にこにこしながら柴田さんが会話に入ってくる。柴田さんは良いお母さんて感じだ。
「あそこで寝てる金髪君は山田君。あっちの眼鏡ちゃんは島村さんよ。二人とも人見知りっぽくてお仕事は何してるのか聞けなかったわ」
「これで全員なのですか?」
「ええ。今は通信制高校の方が人気みたいで定時制は人数少ないみたいねぇ」
柴田さんが残念そうに言う。
少人数ではあるが皆いい人そうだ。
これからこの人達と一緒に勉強するのだなと思うと遥は嬉しかった。
仲良くなれたらいいなぁ……。
にこにこしている遥を皆が見つめているのに青山は気付いていた。
姐さん……。
そんな可愛い顔で笑ってちゃダメですって。
あのホストなんて姐さんに見蕩れて口開いてるし。
おばちゃんとギャルはいいとしてもホストは要注意だ。
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