第7夜

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東の運転は慎重で、殆ど揺れることも無くて快適だ。 東さんて、本当に何でも出来るよなぁ。 腕も立つし頭も切れると誠吾さんも言っていたし……。 寡黙な人だけど、優しいから落ち着くし…。 運転する東を見ながら、遥はそんなことを思っていた。 兄のように思っている山根の恋人ということもあるのか、遥は東のことも兄のように慕っている。 「そんなに見られたら緊張しますね」 「あ、ごめんなさい。運転、上手だなって」 「姐さんは免許は取らないんですか?」 運転免許……僕が? 自分が運転するなんて考えたこともなかったけど……そうか、運転免許を取れば僕も車に乗れるのか。 「免許を取ろう、なんて、思いつきません、でした。ぜひ……チャレンジして、みたいです」 「若頭が姐さんが車を運転するのをお許しになるかは、疑問ですけどね」 東はそう言ってくすっと笑う。 『遥!危ないぞ!事故に遭ったらどうするんだ!』 誠吾ならそう言って全力で止めてきそうだ。 「そうですね……。高校に、通えるだけで、十分なのに、自動車学校まで、通いたい、なんて言えない、です」 「まあ、運転に興味がおありなら、若頭にお話してみても……。姐さんがお願いすれば、反対していても最終的には折れてくれると思いますよ」 普段あまり他人と話さない東だが、遥には気を許してこうして会話をしてくれるようになっていた。 東は組でも良識があって落ち着いているので、話していて凄く安心出来る。 さすが山根さんの彼氏さんだなと遥は思った。
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