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「ああ、確認は済んだ。今日はお開きにしよう」
誠吾がそう言うと、各組の代表達はそれぞれ立ち上がって部屋を出て行く。
会釈をして部屋を出ようとする佐山に、誠吾は声を掛けた。
「藤代の、切り上げてくれてありがとうな」
「いえ。黒川さんはまだ二階堂と揉めてるんですか?」
「いや……二階堂の親父とは揉めてねぇんだけど…。二階堂も内側が腐ってるみたいだな」
佐山は「なるほど…」と、頷いた。
何か思うところがあるのだろう。
「何か困ったら、藤代は黒川に加勢しますから」
にっこり微笑む佐山は、さすが代表に選ばれて来ただけあって落ち着いている。
確か若頭になるのはまだ高校生の息子だった筈だ。後見人として、藤代を実質的に仕切っているのはこの佐山なのだろう。
「頼もしいな。なるべく世話はかけないようにするけど、いざと言う時はよろしくな」
「ええ。黒川さんにはお世話になってますから」
立ち去る佐山を見送って、山根を促して誠吾も会場を後にした。
「拓馬から、家に無事に着いたと報告がありました。尾行してきていた車には、追っ手を出しましたが逃げられたみたいですね……」
「東に付き添わせて正解だったな。他の奴だと遥が無事だったかどうか……」
遥のリハビリの日を調べて、病院で待ち伏せているくらいだ。
狙いが遥となると……。
「二階堂悟、ですよね……」
「多分な。それにしても蛇みたいにしつこい野郎だな」
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