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「じゃ、夜にはしような？」
「はい。楽しみに、してます……」
恥ずかしそうに答えると、遥は誠吾の頬にちゅっとキスをした。
誠吾は堪らず遥をぎゅっと抱きしめる。
悟のことも、黒崎のことも、今はどうでもよかった。
遥との時間が誠吾にとっては何よりも大事だからだ。
夕飯の支度で遥が台所に立つと、今日の手伝い担当の組員が遥の指示で料理を手伝い始めた。
青山に付いてシノギ先の取り立てに行っていた山田は、エプロンを着けて手伝いをする先輩組員の姿に驚いてしまった。
今日は遥が二階堂悟の手の者に襲われそうになったのではないのか？
それなのに……遥と先輩組員は楽しそうに料理をしているが……。
「何驚いてんだ？」
「いや……、本家は今日はもっとピリピリしてるのかと思ったんで…」
青山は「ああ、そうだよな」と苦笑した。
「姐さんが、家の空気が重くならないようにいつも明るくしてくれるんだ。ここは皆の家だから、居心地が良くないとって言ってな」
「そうなんですか………」
手の空いた組員が、続々と台所に集まって来る。その光景は温かくて……ここがヤクザの本家だということを忘れてしまいそうだ。
「ハンバーグは、何味に、しましょうか？」
「あ！俺は和風がいいっす」
「俺は煮込みが好きです」
「俺はケチャップ味が……」
遥がふふっと笑って「多数決に、しましょうか」と答えると、一同が賛成！と元気よく返事をする。
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