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「尾崎遥です。以前高校中退してしまったので今度はきちんと卒業したいです。皆さん仲良くしてくださいね。よろしくお願いします」
遥の挨拶はふんわりしていて、教室の空気が一気に和んだ。
その空気を次に挨拶した山田が一気に壊す。
「山田士郎。金融業。お前達とは仲良くする気は無い。話しかけてくるな」
山田の勢いに教室がシーンとした。
先生だけは面白そうに笑っているが。
「島村瞳です……。私も、人と話すのが苦手なので、できれば話しかけないでください……」
小さな声で挨拶をすると、島村さんはまた俯いてしまった。
「はい!どうも、ありがとな。じゃ、この面子で一年間楽しくやろうや。この後給食食べたら授業始めるからな~」
そうか、定時制では授業の前にまず給食なのか。遥はまた新鮮な思いで青山と食堂に移動した。
「先生もクラスの皆さんも、良さそうな方ばかりで良かったですね」
にこにこしながら話す遥に青山は唖然とした。
明らかに仲良くしたくないと言っていた、感じの悪い奴が二名ほど居たと思うのだが。
「あの……遥さん。あの山田って奴は恐らく同業者ですよ?」
「そうなんですか?全然そんな感じに見えませんでしたね」
どこの組の者か後で調べておかないと。
青山はそのように警戒していたのに、遥は全く気にしていなかった。
さすがあのボスと付き合っているだけあって、姐さんは只者じゃないなと青山は改めて遥のことを尊敬していた。
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