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着替えを済ませ、ギシギシと軋む体に鞭打って台所に向かい朝食の支度を始めた。
体が怠く、申し訳ないけど今日は簡単なものにしよう。
そう思いながら玉子焼きを焼いていると、山田が眠そうな顔をして起きてきた。
「尾崎…おはよう」
「山田さん、おはよう、ございます」
にっこり笑って挨拶をする遥の顔が、少し赤い。
「尾崎、お前顔赤いぞ」
「そうですか?大丈夫ですよ」
笑って答えると、遥はグリルに鮭を並べて焼き始めた。
ギクシャクとした動きに山田は眉を寄せる。
「尾崎君、山田、おはようございます」
「山根さん、おはよう、ございます」
「兄貴、おはようございます」
起きてきた山根は、遥の顔を見るとつかつかと寄ってきて額に手を当てた。
「顔が赤いと思ったら……貴方、熱がありますよ」
「え……そうですか?ちょっと、怠い気は、してましたけど……」
この子は自分の体調に鈍感で、熱があろうが気付かずに無理をしてしまう。
ボスがもう少し気を配ってあげたらいいのに、まだ寝ているのでしょうね……。
「山田、私は尾崎君を寝かせに行きますから、ここを頼みますよ」
「寝なくても、大丈夫ですよ…」
散々横になって過ごしてきて、やっと自由に動けるようになったのに。
熱があるといっても微熱だろうから大した事ないのに。
遥がそう思って横にはなりたくないと言っても、山根は許してくれなかった。
「山田さん、ごめんなさい。後、鮭が焼けたら、完成なので…」
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