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山田に後を任せ、遥が山根に付き添われて部屋に戻ると誠吾が起きて着替えをしているところだった。
「あれ……遥。山根も……どうした?」
「ボス、尾崎君に熱があるみたいなので連れてきましたよ」
誠吾が慌てて遥に駆け寄って額に手を当てると、確かに少し熱を持っている。
やはり昨夜、無理をさせてしまったのだと後悔してもうもう遅い。
「大した事ない、ですから…」
「無理してまた腎臓の数値が悪くなったらどうするのですか。さ、おとなしく寝ていなさい」
山根はぐいぐいと遥を引っ張ってベッドに寝かせた。
誠吾は横になった遥の頭を撫でながら「遥………ごめんな」と謝罪した。
誠吾の謝罪に山根の眉がピクリと反応する。
「ボス………貴方まさか………」
「あ、いや、その…………」
山根は青くなった誠吾の顔と、赤くなる遥の顔を順番に見て、ベッドサイドのゴミ箱に視線を落とした。
そこには使用済みのゴムが、何個も捨てられており…。
「ボス、ちょっとお話があります」
「いや、ちょっと待ってくれ、山根、おい!」
誠吾が山根に引き摺られて行くのを、遥は何も言えずに見守るしかなかった。
スイッチの入った山根は、黒川組で一番強いのかもしれない。
誠吾だけのせいではないので申し訳ないが……。遥に出来ることは、山根のおしおきが軽いものであるよう祈るだけだった。
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