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「悠人。姐さんが、自分からも強請ったので若頭をそんなに責めないように、と言ってたぞ」
「遥がそんなことを……」
もうそのくらいにしといたらどうだ?と、東が山根の肩をポンと叩く。
山根は大きく溜め息をついて、誠吾をじろりと睨んだ。
「あの子は……私にとっても弟のように大切な子です。絶対にもう傷付けないで下さいね」
「ああ……。これからは気を付けるよ」
東と遥のおかげで山根の説教から解放された誠吾が部屋に戻ると、遥がベッドから起き上がって心配そうに誠吾に声をかけた。
「誠吾さん、大丈夫、でしたか?」
「ああ。山根の言うことは正しいからな…。昨日はやりすぎた。本当にごめんな」
誠吾の謝罪の言葉に、遥はふるふると首を振る。
「僕も、して欲しかったから。嫌がってたら、誠吾さん、無理にはしない、でしょう?」
「勿論だ。熱はどのくらいあるんだ?」
「微熱です。すぐに、下がると、思います」
このくらいなら寝ていなくても大丈夫なんですけどと、遥は苦笑しながら話す。
誠吾は遥の隣に腰掛けて、柔らかい髪をそっと撫でた。
「東が朝飯運んでくれたみたいだな。一緒に食べようか」
「はい」
食事の後、誠吾に押し切られて遥は再びベッドに横になった。
大丈夫ですと言っていたのに、横になるとあっという間に眠りに落ちる遥を見て、やはり体調が良くないのだなと誠吾は思った。
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