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明後日からは再び学校に通う予定だ。
体調を整えて、これ以上無理をさせないようにしなければ……。
台所に食器を下げた後、誠吾は事務所に向かった。
先に出勤してきていた山根が「尾崎君、大丈夫でしたか?」と聞いてくる。
「朝飯食べて、今は寝てるよ」
「そうですか…。まあ、食事が取れるなら大丈夫でしょうか…」
遥を気遣った後、山根はすぐに仕事用の顔に戻った。
「喫茶店の冴子さんから、最近うちの組の者じゃないヤクザが店に来て、難癖つけてきて困ると訴えがありました」
「どこの組の奴だ?」
「冴子さんにはどこの組か分からないと…。ボスにも顔を出して欲しいとのことです」
冴子なら上手くあしらえそうなものだが…。
わざわざ誠吾に出て来いと言うのだから、余程タチの悪い輩に目をつけられのだろうか。
「おそらく二階堂…でしょうか」
「だろうな。今、うちにケチつけてくるのは悟くらいだろうよ」
よりによって冴子の店か……。
誠吾は冴子とは何度か寝たことがある。
いわゆるセフレのような状態だったが、だんだん冴子が重くなってしまい付き合いを解消したのだ。
物分りのいい冴子は、あれ以来誠吾に普通に接してくるが……。
「冴子さんの所に行く時は、私も行きますからね」
「俺にはもう遥しか居ないから心配要らねぇのに……。まあ、頼むわ」
山根は未だ、冴子が誠吾に未練があると思っている。
遥にベタ惚れの誠吾が間違いを起こすとは思えないが……。不安材料は一つでも少ない方がいい。
尾崎君を悲しませるのだけは嫌ですからね……。
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